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Channel: 出の目鱈の目魚の目は痛い
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仮面ライダードライブ 第36話 悪人と殺人についての感想

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ブレン「うわあぁーん、覚えてろー!」

せっかく手に入れた警察の機械生命体アドバイザーとしての地位も、黄金色した超進化態の体も、仮面ライダートリプルキックを受けて、ぜーんぶおじゃん。爆発の彼方に消えてしまいました。

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ブレン「うえぇ、ひっくひっく…」

コアの状態のまま、泣き濡れて道をとぼとぼ歩くブレンが愛くるしい。

とそこへ、満面の笑みのメディックちゃんが!!

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メディック「さあ、ブレン”さま”?じーっくり治療してあげますわ(^.^)。ブーレーンー”さーまー”?」

メディックの可愛らしい手に捕らえられた傷心ブレンさん、どかっ!ごきっ!ぼきっ!と、メディックの献身的な治療を…なんか、すっごい音してるけど、だ、大丈夫?仮面ライダードライブ36話感想!はい、今回の感想はグダグダ長いですよー!おかげで、周回遅れorz

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進ノ介「俺はあんたを撃ちはしない。必ず逮捕して、法で裁く」
ブレン「でも君は必ず撃つことになる。48分22秒後に…」

父・英介の射殺犯として仁良を追い詰めたつもりが、ブレンと仁良の罠により、籠城事件の犯人にしたてあげられた泊進ノ介。
さらに、前回ブレンの触手との接触でゆかりちゃんに仕込まれたブレン毒が発動。張り込んでいたシフトカーの通報で駆けつけたチェイスが、携帯したマッドドクターでの解毒は不可能と判断。ゆかりちゃんをその場から連れ去ったことで、チェイスもまた誘拐犯に仕立て上げられます。

完全に彼らの思惑にはまり、進ノ介は犯罪者として死に、チェイスもゆかりちゃんの誘拐殺人犯になったかと思わされる。
しかし、最後に仁良とブレンが事件の仕上げに開いた記者会見の席に、ブレンの毒で死んだと思われたゆかりちゃんが現れたことで、2人の悪事が日本じゅうに暴露されることになります。
おそらく、ブレンも仁良も勝利に酔うあまり、ゆかりちゃんと進ノ介の死亡確認をきちんと行わなかった。
その詰めの甘さが招いた今回の逆転劇は、公共の場で悪者扱いされていた仮面ライダーの名誉が戻り、悪者がみっともなくコテンパンにのされるという、子供番組らしいカタルシスのある展開になっていました。
が!特状課の中で行われた、仁良と進ノ介の壮絶な心理戦はさにあらず。静寂の中に響き渡る、仁良の狂ったような嘲りのセリフは、すげぇ…の一言につきました。

*仁良と進ノ介の戦い

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ブレン「今から57分30秒後、君は射殺されることになる」
仁良「追い詰められて逆上したお前は、人質の俺を射殺しようとし、逆に俺に撃たれるのさ」
進ノ介「ずいぶん手の込んだ罠だな」
仁良「お前の大切なもの総て否定してから始末するためだよ。正義のヒーローとしての名声、全てをな。だからこの場所で、この拳銃なんだよ」

仁良が狙うは、進ノ介を凶悪犯に仕立てあげた上での、正当防衛としての射殺。

この作戦のハードルは高い。最初に作戦の狙いをバラした以上、発砲すれば進ノ介は汚名を着せられた上で殺されるのはわかってる。普通に考えれば、進ノ介が仁良に向かって発砲するとは思えない。

そして、ただ進ノ介をカタチだけの犯罪者に仕立てたいなら、ゆかりちゃんの命を盾にとって、ゆかりちゃんを助けるとかなんとか言うかわりに発砲を強要すればいいだけのこと。

しかし、仁良がこだわっていたのは、あくまでも進ノ介の、犯人は殺さずに逮捕するという正義感、警官としてのプライドそのものをズタズタにすることだった。
そのためには、脅されるのではなく、進ノ介自身の意志で、仁良を殺すつもりで、発砲させなければいけない。だから最初に、作戦の目的を進ノ介に話した。
それでも発砲する時は、進ノ介が本気で仁良を殺そうと思った時。
それが仁良の真の狙い。


ブレン「抵抗は無駄だといったはずだ。時間まで待たなくとも、私は彼女を殺せる。つまり、君はどんな命令にも従うしかない」

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毒を自在に操れることを見せつけて、予告時間前にブレンや仁良を傷つけようとすれば、すぐにゆかりちゃんの命を奪うと脅すブレン。進ノ介からベルトさんやシフトカーを奪い取り、可愛いお手製の唐草模様のずたぶくろに閉じ込めてしまう。そのまま、ブレンは外に出て、解放された人質のふりをして『犯人の要求』をマスコミに伝える。

「特状課全員を釈放しろ。さもなければ、人質の仁良課長を射殺する」

これで、お膳立ては完璧に整った。

進ノ介「あんたには警察官としての誇りはないのか?」
仁良「本当…父親そっくりだな。警察官の誇り?俺にはそんなものありましぇーん!残・念・でしたぁ!」

仁良は、馬鹿にしたようにぺしぺしと進ノ介の額を扇子で叩く。

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英介『いいか?進ノ介。警察官の肩には、大いなる責任が乗せられている。最後まで市民を守る責任が…。分かるか?』

進ノ介は父親に言われた言葉を胸に、必死に仁良への怒りを抑える。だが、ここからが本番。

仁良「さて、問題です。お前の父親はなぜ死んだのでしょうか?『真面目だったから』ブー!はずれー!正解はマヌケだったからです。おバカだったからで~す!あはははははは!お腹痛い!ひゃははははははははは!」
進ノ介「親父を…侮辱するな!」
仁良「おお、やっと怒った!なら、銃を抜け…抜けよ!」

仁良「お前も父親と同じように、俺に敗北するのさ。へっへっへ。なあ、何故今回俺が唐沢ゆかりを選んだか、分かるか?彼女が死ねば、お前の父親の死が無駄になるからだよ。つーまーりー…犬死にだ。わんわん!」

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狂ったように犬の鳴き真似をして、挑発を続ける仁良。怒りのボルテージは最高潮に。
父親をさんざん馬鹿にされた進ノ介の目から静かに屈辱の涙が溢れ出す。進ノ介の震える手が、拳銃のグリップにかかる。

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すると唐突に、進ノ介も狂ったように笑い出した。

仁良「…何がおかしい?」
進ノ介「仮面ライダーのくせに、手も足も出ない自分の無力さがおかしくてさ。悔しいな…。もしも今、空間を飛び越えられたら。仲間を助けられるのに」
仁良「何だそりゃ?それが遺言か?」
進ノ介「ああ。最後のメッセージだ」

仁良は、急に芝居がかったことを言い出した進ノ介をいぶかしむ。が、進ノ介は手錠を捨て、仁良に銃口を向ける。仁良の思惑どおり。こいつも醜い憎しみの感情に支配され、警官のプライドが吹き飛んだ。俺の勝ちだ。仁良は最後の仕上げに入る。カウントダウンと共にゆかりの死の時間がやってきたことを告げる。

仁良「ははははは!たった今、死んだぞ!泊英介が命がけで守った少女が…俺の勝ちぃ」
進ノ介「黙れ」
仁良「お前ら親子の負けだぁぁ!!」
進ノ介「黙れ、黙れーー!」

ついに進ノ介の銃が火を吹いた。銃弾は、仁良の顔から30センチほど離れた壁に突き刺さる。

仁良「…外すよなぁ…やっぱ」

仁良の声に失望の色がにじんだ。ここまできたのに、進ノ介の良心が咄嗟に狙いを外させたのか…。だが、目的を達成したことには変わりない。とにもかくにも進ノ介は発砲した。これで、正当防衛として堂々と進ノ介を撃ち殺すことができる。

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仁良「ま、防弾チョッキ着てたけどねー。アディオス、仮面ライダー」

今度は仁良の銃が火を吹く。英介を撃ち殺した銃で、今度はその息子を撃つ。進ノ介の身体が壁に叩きつけられ、床に沈んだ。

警官の誇りと、憎しみのどす黒い感情との息づまる戦いは、黒い感情が勝つことで幕を閉じた…かにみえました。
だが、仮面ライダーに全ての罪をなすりつけるために開かれた記者会見の場に、死んだはずの進ノ介とゆかりちゃんが現れる。
チェイスのバイクで、剛の元へと連れていかれたゆかりちゃんは、剛の持つ蛮野博士のタブレットの能力で解毒され、助けられていた。
そして、進ノ介は剛とチェイスが発したメッセージに助けられていた。
仁良と対決の最中、進ノ介が唐突に笑い出したのは、2人がゆかりを助け出したよ!という内緒のメッセージを受け取ったため。
そこで進ノ介は咄嗟に『空間を飛び越えられれば…』という芝居がかった言葉でディメンションキャブを呼び出し、進ノ介の心臓に向かって放たれた弾丸を、キャブの時空転移能力でこっそり他の場所に飛ばしてしまった。
そうやって、すべてが仁良達の思い通りになったと見せかけて、証拠を手に入れた進ノ介は、記者会見の場で英介殺しの真実を暴露する。

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進ノ介「これが、その銃弾だ。12年前の事件と同じ拳銃から発射された弾丸。既に線条痕の正しい照合結果も出ている。…わざわざ俺の親父を撃った証拠品の拳銃を使ったのが、あだになったな」

全てが露呈し、追い詰められたブレンと仁良は、融合進化態となって抵抗を試みるが、3人の仮面ライダーの共闘を前に虚しく敗れる。ブレンはコアのみになり、遁走。そして仁良は、進ノ介の手で遂に逮捕される。仁良は最後まで反省の情は示さず、進ノ介に憎まれ口をたたく。

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仁良「まだ終わっちゃいないだろう?ロイミュードと仮面ライダー!果たしてどっちが勝つのかな~?最後まで見届けてやるぜ」

確かに、進ノ介の悲願である父親の仇の逮捕は出来ましたが、ロイミュードはまだまだ残っている。そして次回から最終クールへ突入していきます。

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ところで、この話は28話と内容が対になっています。脚本は両方とも長谷川圭一氏。28話で発した問いに対して、36話でちゃんと答えてくれている。28話レビューはこちら↓
http://blogs.yahoo.co.jp/marurikorori/54883733.html

28話では、逆上した剛が、犯人の女を殺そうとして、すんでのところで止められています。
このとき私は、もし進ノ介が父親の仇と対峙した時、どうやって殺さずに耐えられるのか、すごく興味が湧きました。ロイミュードでなく人間ならば、たとえ悪人でもやっつけずに逮捕する。父親の仇が相手でも、進ノ介はそんな警察官としてのきれいごとを貫けるのか?

36話で、ついにその時がやってきます。進ノ介が仁良に父親を侮辱されて、銃のグリップに手をかけた時、進ノ介は明らかに仁良に対して殺意を抱いていました。
その直後にチェイスと剛からのビデオメッセージが届いて、進ノ介の毒気は抜かれましたが、あの時メッセージが届いていなかったら、進ノ介の殺意はどうなっていたのでしょうか?
やはり進ノ介がグリップを殺意を持って握ってしまった時点で、この勝負は仁良の勝ちだったような気がする。どんな人間でも憎しみから出る黒い感情から逃れることは出来ない。
ただし、進ノ介は最終的に本当の殺意を持って仁良を撃つことを、ギリギリ回避出来ました。ここで、進ノ介は仁良に対して逆転勝ちしています。
それは仲間のおかげ。ビデオメッセージのおかげで、前回本願寺が言ったように、進ノ介には頼れる仲間がたくさんいることを思い出せた。
私も日常において、他人に殺意を抱くことがあります。
あんなやつ、いなくなっちゃえばいい、死んでしまえばいい。
しかし、最終的に実行に移さないのは、他の家族や友人に対する暖かい気持ちがあるからなのかもしれません。彼らとの楽しい思い出が、殺意を実行に移そうという気持ちにブレーキをかける。憎しみを抱き続けるのはしんどい。それよりも、家族や友人といる時の楽しい気持ちにひたるほうが、ずっとずっと気持ちいい。その思いが、一部の人間に抱く殺意を忘れさせてくれる。
進ノ介のようなヒーローだって憎しみの気持ちに翻弄される。誰だって黒い気持ちに支配されることがある。しかし、周りにいる人達の気持ちが、あなたをその黒い感情の地獄から救い出してくれるかもしれない。
進ノ介の姿を通して、そのことを視聴者に伝えてくれています。

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そして、どうして悪人でも殺してはいけないの?という問いにも、答えてくれたことには…なるのか。
仁良は、視聴者に向けて同情の余地のない、完全な悪役として設定されていました。しかし、ここで進ノ介が「悪人」の仁良を殺してしまえば、完全に進ノ介の負けであると、視聴者にわからせるのに充分なシチュエーションが用意されていました。
今回の仁良の目的は、進ノ介に殺意を持って自分を撃たせることでした。そうさせることで、進ノ介の警察官としてのプライドをずたずたにしようとしていました。お綺麗な泊親子を、自分と同じ位置にひきずりおろそうとしていました。
ここに長谷川圭一氏のひとつの答えがあります。
なぜ、悪人でも殺してはいけないのか。
もちろん、殺した時点で社会的には犯罪者になるから、という答えも含んでいます。
しかし、それ以上に強調したかったのは、もし悪人を憎しみを持って殺してしまえば、自分もその悪人と同じレベルの人間に「堕ちてしまう」、ということだったのではないでしょうか。

どうして人を殺してはいけないのか。この難しい問いをドライブという軽妙な作品に滑り込ませて、重くなりすぎない形でひとつの答えを出してくれた長谷川氏の手腕に驚愕。この28話と36話があったことで、ドライブという作品は充分に見る価値があるものになりました。
そして、仁良さん。その同情の余地もない小物な悪役っぷりが、やっぱり私、好きでした。この話は仁良さんの、あのねっちょりしたいやらしい芝居がなかったら成立しなかった。短い間でしたが、全力の演技で楽しませてくれて、本当にありがとう。

*蛮野博士のタブレット

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剛とタッグを組んだタブレット内の蛮野博士は、予想外の活躍を見せ始めます。ハートがタブレットに手を伸ばしたとき、タブレットから光の触手が飛び出してハートを縛り付け、ハートはその場で失神。その隙に剛はタブレットと共にその場を逃げ出す。

ハート「これが…蛮野天十郎の力か」

タブレットは、ロイミュードに使われている時は、そんな能力は微塵も見せていなかった模様。
他にも、ゆかりちゃんの毒を解析して解毒をするなど、つぎつぎに恐るべき能力を見せ始める。

剛「助かったよ…父さん」

剛はタブレットの蛮野に対して、すこしずつ心を開いてきているのか、その声には親しみをこめたニュアンスがまじっている。
しかし、この蛮野、剛が心を許してきた頃を見計らってか、おかしなことを言い出してる。

蛮野「泊進ノ介を助けるのはいいが、クリムはどう思うかな」
剛「どういう意味?」
蛮野「彼は私に対し、あまりいい感情を持っていないはずだ」

んー?以前、クリムは蛮野のことを親友と言っていたような…。もしかして、剛を味方につけて、進ノ介達と仲違いさせようとしてる?
なんか、あやしいよ。いろいろ剛の役に立つところをみせておいて、信用させてから、いきなり裏切ったりするんじゃないの?これ。
せっかく今回、ゆかりちゃんを助けるという共同作業で、剛とチェイスがちょっと仲良くなれたみたいなんだからさぁ。蛮野博士、妙なことしないでよーと、強く念じておく。

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