Quantcast
Channel: 出の目鱈の目魚の目は痛い
Viewing all articles
Browse latest Browse all 289

スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号 ネタバレちょっとだけ感想

$
0
0
「スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号」2015年 日本 監督/柴崎貴行 脚本/米村正大

というわけで、みてきましたー。なんかネットでの評判をみると、意外と評価ひくくて、あれ?と思ったので、急いで感想書いてみました。
ネタバレは、重要な所はしてないつもりですので、ええ?観に行こうと思ってたのに、そんなに酷いなら見に行くのやめようかな、と思ってしまったそこの貴方。密かに観てよかったと思っているそこの貴方。ちょっとだけお立ち寄りくださいませ。
さあ、みにいくぜー、とヤル気まんまんのそこの貴方は、鑑賞後にどぞー^_^。

イメージ 1



思わずCMで1番なごんだシーンを引っ張ってきてしまいましたが、これに引っ張られて映画を見に行くと、とんでもない裏切りにあうかもしれません^^;。この映画、異論反論はあると思いますが、全体にびっくりするくらい大人向けなんですよ。
確かにこどもは出ている。
確かにバトル満載。
確かに、映画内の抑圧された空気を変えるブレイクポイントになっているのは、名も無いこどもの叫び。
でも目線はこどもではないんです。あくまでも仮面ライダー達の苦悩と葛藤が今回のメイン。
初っ端にいきなり昭和の「仮面ライダー」TV最終回から映画はスタート。その直後に「歴史の改変」が生じ、現代に「ショッカー」による一党支配のパラレル世界が生まれます。この流れが、上手な映像の処理によりシームレスな出来になってる。映画も全体に昭和の映像に合わせて暗い画面になっていて、例年のようなカラフルな印象はありません。バトルはあるものの、派手さは抑えられ、ライダー同士の不信感が強く押し出されています。暗く、重苦しい印象の方が強く出るように出来ている。
ショッカーはナチスのように描かれ、世の中はショッカーを信じて、ついて行くことで、経済は発展し、一見平和を保っているかのようにみえる。子供達はエリートであるショッカーの一員に競ってなりたがり、「ショッカーユーゲント」を目指してがんばる。しかし言論制圧は重苦しく、デモなどを起こそうとする市民が逮捕される。
我らが仮面ライダードライブ、泊進ノ介も「歴史改変」の影響を受け、特高警察の一員に。ショッカーに逆らう者を逮捕するのが職務で、正しい事だと信じている。霧子は、シグナルバイクの庇護を受けて「歴史改変」の流れに巻き込まれなかった為、この世界がおかしいとわかっている。しかし、霧子も警察故、この世界では特高警察の一員になってしまっている。全体の空気になかなか逆らえない。
ここからライダー達が、どのようにこの世界のおかしさに気づき、元の世界を取り戻すか。それがこの映画の骨子。
観客の目線に1番近いのはゼロノスこと桜井侑斗。
彼は時間を越えられるライダーの為、「歴史改変」に確実に巻き込まれていない。他にも、巻き込まれずに打倒ショッカーを目指すライダーがいることはいるのですが、虚々実々入り乱れて、誰が味方なのかわからない。侑斗は打倒ショッカーを目指し、怪人の邪魔を乗り越えて、黒井響一郎こと「仮面ライダー3号」の先導を得ながらショッカーの本拠地を目指しますが、その途中、ライダー達に助けられたり、騙されたり。
終盤まで、誰がショッカーに洗脳されているライダーなのか、そうじゃないのかわからない。洗脳されていても、途中で目覚めるライダーもいたり。たぶん「歴史改変」に巻き込まれているも、元々の性格故、あんまり変わらないライダーもいたり。敵が味方になったり、味方と思ったら敵だったり。
かなり複雑になってしまった為、脚本としては矛盾が生じてしまった部分も多々あります。そして、各ライダーに思い入れのある方達には「なんでぼくの好きなライダーが簡単にショッカーに操られちゃうんだ!?」と辛い部分もあります(私もそのひとり^^;)。しかし、全体として言いたいことは伝わってきました。
この映画で伝えたかったことは「仮面ライダー」という、みんなが正義と定義する「記号」を疑いもせず信じてほいほいついて行くと、とんでもないとこに持って行かれるよという警告なのではないかと。現在の社会情勢を鑑みたか、珍しく思想的な側面をみせてきました。
また、今回のメインゲスト「仮面ライダー3号」黒井響一郎は昭和ライダーの流れに沿った「改造人間」。これ、今のニチアサではもう許されない設定なんですってね。しかも黒井響一郎は、ニチアサではもう許されないことをやってしまっているのです。
ここにきて、テレビではもう出来ないこと、映画でしか出来ないことを考えて作ってきていると強く感じる内容でした。3号は許されない暗い部分を背負ったキャラ造形。昭和のライダーに、石ノ森章太郎が描いたライダーに近づけたという自負を、エンドクレジットからも感じます。まあ、現行のテレビシリーズのことも考えて、穏やかな着地にはしていましたが。
ただ、やっぱりこどもはついていけてないみたいなのよ…orz。斜め前に座ってた4歳くらいのこどもさんが、不安がってぐずるぐずる^^;。
最後にニンニンジャーが出て来て、今までの重苦しい映画の空気が一変した時、そのこが「ニンニンジャーだ!」って叫んで、会場の空気もなごみました。
話としては、いかにも付け足しなんですが、やっぱり戦隊パート、必要だと思うよ。

しかしこの映画、最後の最後で、とんでもない仕掛けを用意してきてます。
最後に、現行シリーズの登場人物にとんでもない事件が起きて、現行シリーズの「歴史改変」をしちゃっているのです。これはこの映画の観客を、入場者プレゼントで配布されたDVD「仮面ライダー4号」へ誘導するための仕掛け。あまりにびっくりしたので、これは誘導されざるを得ない!そしてそこから有料チャンネルへ誘導されざるを得ない!ぐぬぬ、やりおるのう。
この流れを作った首謀者はプロデューサーの白倉さんなのかな?さすが商売に抜かりなし!とも言えますが^^;、これ、うがった見方をすると、白倉氏が作り手を保護する為に作った仕掛けともとれるんですよ。東映取締役として、シリーズを継続させて行くことに重きを置いている白倉氏の、自らのジレンマへの解決法というか。
正直なところ、今のニチアサはビッグコンテンツ故の制約でがんじがらめのようです。以前から「ユリイカ」の仮面ライダー特集などでも語られてきましたが、今はもうやりたくても「龍騎」や「555」のような作品は作れないんだそう。ライダーが怪人以外を「殺す」ようなものは基本NG。最初はバトルしても最後には仲良くならなきゃならない。その中で、インベス化というエクスキューズを用いたとはいえ、ライダーバトルを突っ張り通した「鎧武」という作品は、実はすごいことをやらかしてた訳ですが、関係者一同は相当大変だったらしいです(株式会社カンゼンより出版されている「語ろう!555 剣 響鬼」に収録されている虚淵玄さんのインタビューなどから、そのことがうかがえます。興味ありましたらご一読ください)。
だったら、ニチアサ枠ではもう出来ない、大人好みのハードな話は、有料チャンネルでやろうよ!という試みなのではないかしら。今までネット配信していたようなパロディものではなく、本格的なドラマで、どれだけ有料チャンネルに食いついてくるか見てる。
今回配布されたDVD「仮面ライダー4号」を観て、それを強く感じました。うん、この内容はたぶん今のニチアサではもう出来ない。ドライブメンバーをメインに据え、こども向けのくすぐりを排した本格的な謎解きもので引っ張ってあって、え?どうなるの?とかなりガチで続きを見たい出来。監督は山口恭平氏。脚本は毛利宣宏氏。やりおるのう。
dビデオに加入して、是非この試みに参加したかったんだけど、うちにあるデバイスがことごとく推奨規格外orz。ちょちょちょっと!これ、後でDVDで出るんでしょうね!
最後に、この映画で個人的に掴まれたところを。
J!Jが怖えー!暗闇に光るJの目に、とてつもない絶望感を感じました。こんなのに襲われたら助からないよう…。巨大感、重量感が半端なく。私の中で、夜に出くわしたくないライダー第1位に昇格。
巧は…カッコいいのよ!わざと暗いところで戦ってくれちゃうし!暗闇に光る赤のラインにはぞくぞくするわー。10年たってもやっぱり555のデザイン、変身音声とコミで1番スタイリッシュだわーと感心しました。
南光太郎、時代を超えてヒーロー!すんごい説得力のあるヒーロー!超かっけー!しかし、BLACKがダメでもRXがあるもんねー的なゴリ押しには吹いた。そう来ましたか。
そしてこの映画の映像としての目玉、サーキットでの激走カーレース!うん、ドライブのスポーツカー仕様をみた時に、皆が一度はみたいと思っていた絵。なんかひとり、とんでもない巨大車両をエントリーしてるライダーがいて吹きました。重いだろ!絵的にはとてつもなく面白く。
そして、仮面ライダー3号、及川光博!所作も都会的で洗練されてて、ダークヒーローな影の側面も背負っちゃって、ちくしょー!かっこいいのよう!しびれました。ただし私服衣装が、まんま「相棒」の尊君だなあと思ったのはナイショ。ライダー姿でメットオフして、車の脇に佇んでる姿は、いかにもヒーローで身悶えましたー。はふん。

まあ、賛否両論色々出てくる内容だとは思いますが、それだけ制作側も色んなことに挑戦している内容ということで。興味がありましたら劇場でご確認くださいませ。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 289

Trending Articles