「あれが……」
「LEVEL3!」
永夢は新しいロボット格闘ゲーム、『ゲキトツロボッツ』のガシャットを手に入れ、エグゼイド、早くもLEVEL3に!このロボットキャラがいかにも64ビットデザインぽくて、割と好き。そして、変身の時のお歌がね。
『♪ぶっとばせぇ!とつげきー!ゲキトツパンチ!ゲキトツロボッツーー!!』
ああ、この影山ヒロノブの声によるタイトル絶叫系昭和メロディに安心する、とても安心する。ロボットアニメ主題歌はかくあるべし仮面ライダーエグゼイド第5話感想。
えー、放映翌日までに感想書けなければ諦める、と豪語していたワタクシですが……今週は放映が一週とんでるので、例外適用ということで……はい……え?一昨日5話やってましたよね?(超大嘘
というわけで、今回注目の黒いエグゼイド、シャカリキスポーツ(仮)氏、その正体がついに明かされたでござるの巻。
その正体は、仮面ライダーゲンム、幻夢コーポレーションのCEO、檀黎斗でした!
って……えー?!ワタクシ、グラファイトといつも一緒にいる謎の兄ちゃんが、てっきり変身しているものかと(え?皆わかってたの?騙されてたの私だけ?)orz。
……てことはさ、この謎のお兄ちゃん、何者(-_-;)?!
*グラファイトと、謎の兄ちゃんと、檀黎斗
さーて、いろいろ情報が開示されたおかげで、謎がすっかり深まりました。とりあえずは今回わかったことを、箇条書きで整理。
・バグスターウイルスであるグラファイトには人間態がある。通常は、ウイルスが増殖すれば、人間の体が乗っ取られ、患者はこの世から消えてしまうはず。 これは特殊例なのか?それとも、人間を乗っ取ったウイルスは、新たな人間態を擬態のために形づくるようにできているのか。
・グラファイト人間態は、ゲーム病に罹患している人間と一見区別がつかない。
・今回のウイルスは寄生主が見当たらず、ウイルスを患者から切り離す必要がなかった。グラファイトには、始めから独立した形でのバクスターウイルスを生み出せる能力があるのか。それとも、ウイルスの頭に刺さっていたガシャットの裏コマンド的な力なのか?
・「一気に叩き潰す!仮面ライダーを消し、全人類を乗っ取れ
ばバグスターが世界の支配者となる」
一応グラファイトには目的がある。増殖が主目的のいかにもウイルスらしい単純な考え。
・「力技じゃパズルは解けない。俺の計画通りに動け」
いつも一緒にいる謎の兄ちゃんも、たぶんグラファイトと同じ目的だけど、もちっと頭良さそう。彼がグラファイトの主導権を握っている。彼もバクスターなのか、人間なのかはまだわからない。
・黎斗は自社で開発したゲームから発生したバクスターウイルスを撲滅するために、衛生省と提携し、ライダーシステムを開発、提供。ゲーム病患者を治療するための専門機関、CRを設けた。一方で、貴利矢や大我へ、非正規ルートでガシャットをばら撒き、バクスターを斃すよう煽る。
・ウイルスを撲滅するためには手段を選ばないからかと思いきや、黎斗自身がウイルスを撲滅するのを邪魔する黒ライダー、ゲンムに変身。さらにはバクスターのグラファイト達とも手を組んでいた。
・今回黎斗は、ポッピーピポパポ、永夢、飛彩、大我に、新しく開発した4本のガシャットが盗まれたと宣言していたけど、盗んだのはグラファイトの人間態。つまり自作自演。
・永夢「もう、訳が分からない……!あなたは誰なんですか!?目的は一体何なんですか!?」
ほんと、箇条書きでまとめてみても、黎斗が何をしたいのかさっぱりわからん。
というわけで、何が目的なんだ!幻夢コーポレーション!!ふおおー、知りたい!あなたの気持ちがもっと知りたいのー!と不覚にも思ってしまった時点で、罠に嵌められた予感。しまった。続きが気になって気になって……製作側の思惑にしっかり乗せられてます、あうー。ちくしょーいいぞ!どんどん乗せてくれ。
そして、黎斗が最後にみせた笑顔の悪辣さといったら!
グラファイト「恐れてるのか?エグゼイドの力を」
黎斗「まさか!恐ろしいのは、私自身の才能さ!」
ほうほう、いいねー、外ではスマートなCEOの笑顔、裏では歪んだプライドに満ちた笑顔、この2面性がたまりませんわ。裏表すごい人、割と好きだったりするんです。はい。
謎の兄ちゃん「心が踊るなあ。仮面ライダー……ゲンム」
うん、私も心踊ってるから、君は早く何者なのか正体を明かしたまえ。
*九条貴利矢
「ま、別に自分はバグスターの謎さえ解明できりゃ、それでいいけど」
黎斗から、盗まれたガシャットを取り戻すよう焚き付けられるも、いまいち乗り気なんだかそうじゃないんだか。韜晦っぷりは変わらず。相変わらず本音がみえない。
「見たんだ。謎の仮面ライダーの正体を。正にさっきまで先生方と一緒にいた、ガシャット泥棒のゲーム病患者だよ」
そして、なぜか黒いエグゼイドの正体はグラファイトであると、全員をミスリードする貴利矢。彼も何を考えているのかわからない。もしかして、黒いエグゼイドの正体をそのように言うよう、黎斗に内々に頼まれていたのか? しかし、黒いエグゼイドが姿を現した途端、貴利矢はLEVEL1のまま斬り込み、黒いエグエイドに耳打ちする。
貴利矢「ははっ!あんたの本当の正体は分かってる」
すぐに貴利矢は、黒いエグゼイドに、メチャクチャにぶちのめされてしまう。うーむ、貴利矢と黎斗は別に裏で繋がっていたわけではなさそう。
貴利矢はグラファイトや黎斗の秘密をどこまで?拙んでいるのか?どうやって掴んだのか?
また、知っていながら他の仮面ライダー達に情報を伝えないことで、貴利矢にはどんなメリットがあるのか?
この男もえらく謎が多い。秘密の多い男は割と好きだったりするんです、はい。
そして、君は早くLEVEL2になったときに、上に乗ってもらえる相棒を早く見つけたまえ。
*花家大我
「グラファイト……てめえだったのか!」
ゲームに勝つことと、ガシャットを10個集めることにしか興味がなさそうな大我ですが、グラファイトだけには、何故かひどく執着を見せる。いったいグラファイトと彼のあいだに、5年前なにがあったというのか?次回その一端が明かされるのか?彼が医師の資格を失うことになった事件と、なにか関係があるのか。
資格を失いながらも、もぐりでひっそり医者を続けているあたり、彼なりに放射線科医という仕事をプライドを持ってやっていそう。アウトローながらに仕事にプライドがありそうな男は割と好きだったりするんです、はい。
そして、君は髪が一部白メッシュになってる理由を早く明かしたまえ。
*鏡飛彩と宝生永夢
さて、今回も永夢を中心に、それぞれに譲れない医者の正義がぶつかりあう。あら若いっていいわー、全力でぶつかってくださいまし、先生方(病院で働いてる掃除のおばちゃん目線)。
永夢「でも!その人ゲーム病で苦しんでました。きっと今も、僕達の助けを必要としているはずです!」
飛彩「相手は犯罪者だ」
永夢「だとしても患者です!」
飛彩「忘れたのか?そうやって患者に寄り添いすぎた結果、お前は花家大我にガシャットを奪われたんだ!お前のキレイゴトにはうんざりだ!」
永夢「患者を見捨てるなんて、ドクターじゃない!」
ゲーム病で苦しんでいた男が、ガシャットを盗んだ犯人だとわかった途端、永夢と飛彩の考えの違いが激突。犯罪者であっても、患者の病の苦しみに目を目を向け、寄り添おうとする永夢。そして、患者の個人的な
事情を勘案することで、自分の命や医者としての立場が危うくなるなら、自分を優先させようとする飛彩。 確かに相手は、ガシャット窃盗の犯人と告発した途端、治療を待たずに逃げ出すような男。ゲーム病が治った途端、永夢や飛彩のガシャットも盗んで、また逃げ出すかもしれない。永夢のようなお人好しバカは多分またガシャットを取られるだろう。そうしたらCRは成り立たず、他のゲーム病患者を救えなくなる。飛彩は、そこを心配している。
しかし、永夢は頑として自分を曲げない。CRを飛び出した永夢は、幻夢コーポレーションのCEOの立場としての黎斗からも説得される。黎斗としては、やはり永夢にはガシャットを取り返す方を優先してもらいたい。
黎斗「患者を救いたい……ドクターとして当然だ。しかし、私も飛彩くんと同意見だ。犯罪者を救う前に、私達には果たすべき使命がある」
永夢「助けなくていい患者なんて、いるんでしょうか?どんなに悪い人でも、命は命です!苦しんでる患者がいるのに、放っておくなんて僕には……」
永夢の医者としての気持ちを尊重する素振りを見せながら、黎斗は慎重に永夢の説得を続ける。
黎斗「君は水晶のようだな。患者の心を自分自身の中に映し出し、優しく輝きを放つ。しかし、そんな君が心配でならない。すべての患者が善人とは限らない。もし、悪意を持つ患者によって君の思いが踏みにじられてしまったら……水晶の輝きが失われ、跡形もなく砕け散る危険がある」
黎斗は、永夢の医者としての理念の純粋さを心配している……素振りをみせる。
助けを必要としている人全員が純粋無垢で、永夢の善意に善意で応えてくれるとは限らない。厚意に全力でぶらさがって来た挙句、特別扱いされないと、酷い医者だと全力で責め立てる患者。厚意を当然だと善意の上にあぐらをかき、医者や看護師を召使のごとくこき使い、怒鳴り散らす患者。治療したら治療代を踏み倒してバックレる患者。そんな患者だって、いる。
永夢がそういう患者達と接して来た上で、それでも患者に寄り添うと言っているのなら、構わない。しかし、永夢は研修医。まだまだ経験不足。現実を知らない理想は脆い。理想が高ければ高いほど、それを挫かれた時の挫折は深い。
永夢「例えそうだとしても、患者を救えずに後悔するよりはマシです!」
それでも、永夢は自分の意見を曲げない。
そういった永夢の医者としての倫理を、会社経営者としての黎斗はどう受け取ったのか? 黎斗が変身したゲンムは、戦おうとしない永夢の胸ぐらを掴み上げ、戦うよう焚き付ける。
ゲンム「強い者が生き残る。それがゲームの世界であることは、お前が一番良く知っているはずだ。天才ゲーマーM!ドクターとしての理性など、ここでは何の価値もない」
天才ゲーマーM。その言葉に反応した永夢の闘争心に、火がついた。逃げようと促すポッピーピポパポを押しのけ、永夢は医者としてではなく、ゲーマーMとしてゲンムに対峙する。患者に寄り添う小児科医の永夢の顔と、ゲームで一番を目指す天才ゲーマーMの永夢の顔はあまりにも違う。彼は、自分の中にいるゲーマーMの顔を自覚しているのか?
さて、あくまでも架空のストーリーの上で言えば、永夢の気持ちもわかるし、飛彩の立場もわかる。どっちも正しい……と、お茶を飲みながら、若い彼らの葛藤を見守りたいところなんです。
……ところが! 最近は現実世界でも、今回と似たケースの倫理観を問われる騒動があり、こういうことを現実に訴える人間が増えたら嫌だなと思ったので、おばちゃん、少し真面目に語り入ります。自分でも口うるさいと思うので、苦手な人はここで回れ右。
現実にあった騒動を掻い摘んで説明します。
歯に衣着せないブログを書くことで有名な某アナウンサーが、自身のブログに以下のようなことを書きました。
本当はそのブログから原文を引用するべきなのでしょうが、人を傷つけたり挑発したりすることを目的にした酷い言葉を多用していて、引用するのもはばかられるので、ざっとマイルドに彼の主張を要約しますね。
人工透析は一人あたま1年に500万円以上かかるような、非常にコストのかかる治療
→しかし、国民皆保険制度のお陰で、患者が負担するお金は1ヶ月に1万程度
→人工透析を受けるような患者の多くは、自身の不摂生から起きる糖尿病
→先天性の病や不慮の事故などで苦しんでいる人ならいざ知らず、食べ過ぎや飲み過ぎの自業自得で病にかかった人に、保険からそんなにお金を使われるのは許せない
→人工透析の病院に取材に行ったら、あたり構わず怒鳴り散らすような酷い患者(いわゆるモンスターペイシェント)を見た。医者の話では、そういう患者は結構いるとのこと
→こういう患者のために、健康保険の財源が食い潰されるのは許せない
→そういったモンスターペイシェントの人工透析に保険を適用しないようにする制度が欲しい
→もし、それで治療費が払えずに治療が受けられず、その人が死んでしまっても自業自得である
つまり、某アナウンサーの言いたかったことは、善良な患者と、悪意のある、もしくは自堕落な患者を選別して、保険適用するか否か決める制度を作れということなんですね。
もちろん、ろくな取材もせず、感情と勢いに任せただけのこの主張は穴だらけで(どこが穴なのかは本筋ではないので、ここでは説明しません。興味のある人は全腎協、日本透析医学会などのhpをみて調べてみてください)、人工透析患者や医療関係者からの猛反発を受けた彼は、全仕事を失う憂き目に遭いました。しかし、彼は患者を貶めるような言葉の使い方、「自業自得」という言葉の使い方については、反省し、謝罪したものの、一部のモンスターペイシェントの人工透析には健康保険を適用すべきでない、という考えは撤回していません。
この考え方、今回の飛彩と黎斗の考え方に似てます。犯罪者に対しては、こちらが危険をおかしてまで治療を施す必要はないという飛彩達の考えと、善意の患者と悪意の患者を選別しろという某アナウンサーの考えは、結構似てる。
うーん、飛彩達の考え方もわからなくはないんですよ。
ワタクシ、昔持病持ちで、発作が起きてER(夜間緊急外来)に駆け込んだことが何度かあります(オペしたので、今はなんともない)。たまたま心臓関係の持病だったので、優先的に診ていただいてましたが(ERでは、心臓関係は命に関わることが多いので、処置が優先されます)、繁華街近くにあるERだったため、急性アルコール中毒で救急搬送されてきた患者さんの処置と重なることが、割とありました。
こうなると、ERのお医者さんは鬼の形相。こっちじゃ私の発作止めなきゃいかんし、あっちじゃ胃洗浄しなきゃならんしで、てんてこまい。救急車に付き添って来たらしいヤンキー兄ちゃんのセンセー!早くしてくれよー!みたいな怒号が響きわたるし、待合室では診察を待つ急患がたくさんぐったりしているし、もう現場は阿鼻叫喚。
私の病は心臓とはいえ、死なない病であることはわかっていたので、「あのー、むこうの救急車の人、先でいいっすよ?」と申し出たら、先生が「いいの!むこうは自業自得なんだから!!」と毒づきながら私に注射をして、きっちり発作を止めてから、ものすごい勢いでアル中患者を処置しに走って行ってました。
小さい頃から病院には何度も出入りしていて、わりと入院のセミプロだったりするので、ほかにも似たようなケースは何度も目撃しています。
正直、怖い患者さんもいたし、看護師さんを馬鹿にして脅しつけるような人も見たし、内臓の病気で節制が必要なのに、何度も病院をこっそり抜け出しては、こってりしたものを食べる人も同室にいたし……。忙しいお医者さんが、なんでこんなやつのために……と思う場面は、何度かありました。こんな奴のために私は何万って保険料払ってんのかーと、他ならぬ自分が健康保険をじゃぶじゃぶ使っているのは棚にあげて(-_-;)、心の中で毒づいたことも何度もあります。
それでもね、今回に関しては、「患者を見捨てるなんて、ドクターじゃない!」と言い切ってくれた永夢の方に、私としては肩入れしたいのですよ。
他の病はいざ知らず、エグゼイド世界のゲーム病は、そのまま処置しないと患者が消滅してしまうという設定。某アナウンサーが主張する人工透析も、もし高額な治療費が払えずに中断してしまえば、患者は確実に死にます。
つまり、今回のケースに限って言えば、この人は悪い人だから治療しなくていいなんてお医者さんが判断するのは、患者に消極的に死刑を宣告しているようなものなのです。
医者は医者です。裁判官ではありません。確かにガシャットを盗んだやつは犯罪者です。しかし、窃盗が死刑に値するかというと、ちょっとそれはいくらなんでも量刑不当じゃないの? と思う。
もし、人工透析のお医者さんが、こいつはモンスターペイシェントだから保険きかせなくていいよ、といったら、よほどの金持ちでない限り、その人の命はそこで終了。確かにムカつく野郎かもしれませんが、美味しいものを食べたり飲んだりしすぎたのは自業自得かもしれませんが、それが死に値するほどのことかというと、やはり考えこんでしまう。
善悪をジャッジするプロである裁判官だって、被告に死刑を出すには、そうとうの議論と葛藤を要します。それを医者が簡単に判断するのは、とても危険だと思うし、後で医者自身が罪悪感に苦しむことにもなりかねない。やはり、医者が善悪の観点で、治療するしないをジャッジするようなことは、絶対あってはいけないことだと思うのです。
うーむ、フィクションとして永夢達の葛藤を楽しみたいのに、そうはさせてくれない現実の世の中がせち辛い。キレイゴトだけじゃ世の中まわっていかないのはわかるけど、最近はSNSなどで本音を攻撃的な言葉で晒して、怒りをわざと煽る人も多い。そのせいで、本来対立しなくていいところまで、対立しているような気もします。言葉は力にもなるけど、ときには強力な凶器にもなる。そのことは肝に命じておかねばな、と思います。……ああ!また長々と書いてしまいました……反省。