セラ「どこ行ったんだろう……?あ、いた!」
セラは、どこのだれともわからないナンパ男にプレゼントされたネックレスを突き返そうと、男の行方を探す。
が、そこで見たのは、工事現場で懸命に働く男の姿。
安全ヘルメットを外すと、地面から吹き出す水を気持ちよさそげに浴びて、男の身体からきらきらと水が飛び散る……飛び散……、こら、演出!なぜそこから水が噴出してる!工事現場で水道管破裂させてたら大事故ですがな!
が、セラちゃん、そんな男の姿をみて、胸がきゅんとなっちゃった!えええー!?
……あー、そうか、あれか。ウルフェスのライブステージの終わりあたりで、ウルトラ戦士達のスーツの中に溜り過ぎた汗が手袋の繋ぎ目からぶしゃっと滴ると、無条件にトキメいちゃうのと同じ心理か、動物戦隊ジュウオウジャー第39話感想!
古今東西「水も滴るイイ男」は、色男の必須条件。とても大切な事なので、男子諸君はよくおぼえておくように。
というわけで、人魚っつーか人鮫のセラちゃん、ニンゲンのオトコに恋をしちゃったでござるの巻。
今回の脚本は田中仁さん。
男性に負けない強さを求めて足掻くセラを主に書いてきた、メインライターの香村純子さんに対して、サブライターの田中仁さんは、セラの乙女らしい部分を主に強調して書いてきたわけですが、今回はその集大成。
ふたりのライターが描くセラは、一見相反しているように見えるのですが、双方とも『頑なな少女』を描き出すという点では一致しています。ふたりで、彼女の『少女』らしさを全く別の視点から描くことで、セラちゃんはジュウオウジャーの中では1番立体的な感情を持つキャラクターに成長しました。今回は、セラの恋愛に対する少女らしい潔癖さと無垢さがきっちり表現されていて、これはきましたー、かなりキュンキュンきましたー。
*デスガリアン
クバル「一風変わった趣向をご覧にいれましょう」
今回のブラッドゲームプレイヤー・シェフードンは、カロリー1,000倍の美味しい料理を無理矢理食べさせて、街の人達をもっこもこに太らせるだけ……という、クバルらしからぬ、ひねりもなにもない作戦。
が、今回の作戦は、あくまでもジニス達に対する目眩まし。
ブラッドゲームへ目を引き付けている間に、クバルは自分の腕に移植した『バングレイの右手』の能力を、実際に試していく。結果、以下の規則が見出されました。
・自分の記憶を実体化させることはできない。
・実体化したものから、さらに記憶を引き出すことはできない。
・実体化したものは、『バングレイの右手』の持ち主の命令をきく
そして、たまたま襲った女性の頭から結婚詐欺師の記憶を引っ張り出すと、試しにジュウオウジャーのオンナどもをたぶらかして、仲間から引き離すように仕向けます。
アザルド「おい、クバル、地球人を太らせてどうするつもりだ?あ、いないのか?」
ナリア「先ほど、出ていかれました」
アザルド「ゲームの最中に、何考えてるんだ!?」
やる気のなさそうなクバルのゲーム展開にぶんむくれのアザルドをよそに、ジニスは興味深そうに肘をつく。
ふむ、ようやくクバルは動きだした。さて、どう出て来るのかな?
ジニスは、クバルの企みが自分にぶつけられるその時を、密やかに期待している。
*恋する乙女、セラ
街にデスガリアン、シェフードンが現れると、今日も元気にブラッドゲームスタート。街の人を守るために、今日も戦うジュウオウジャーだったけれど、シェフードンは突然姿をくらましてしまう。
皆で手分けしてシェフードンを探すうちに、可愛いアクセサリーを売る屋台を見つけたアムちゃん、早速脱線。アムをたしなめようとしたセラも、これなんか可愛くない?とノセられて巻き込まれ。
ふたりできゃあきゃあアクセサリーを眺めていると、横からたくましい男の手がにゅっと突き出て、可愛らしい雪の結晶のペンダントトップのついたネックレスを取り上げると、売り子に金を支払った。そのままセラとアムの前に、そのネックレスを突き出す。
男「はい、美しい女性へ俺からのプレゼント。これはどっちが似合うかなあ?」
いきなりの展開に、アムとセラはいったん男に背を向けて、ひそひそぼそぼそ。
セラ「どうなってるの?」
アム「任せて」
アムはにっこり笑顔を作ると、男に振り返り、ネックレスを受け取った。
アム「ありがと」
零「いえいえ。じゃあ連絡先教えてもらってもいいかな?」
アム「それはお断りします。行こ!」
アムはセラの手を取ると、ずんずんその場から立ち去る。あまりの急展開に、セラはついていけない。
セラ「今のなに?」
アム「ナンパじゃない?顔はまあまあだし、お金も持ってそうだけど、ちょーっと軽すぎるかなー?」
セラ「え?どうすんの、それ?」
アム「せっかくだし、ありがたくもらっておこうよ。セラちゃん似合ってたし」
セラ「だめだよ、そんなの!私、返しに行く。ナンパ男に借り作ったままじゃいやだもん!」
アム「ちょっとセラちゃん!」
どうせナンパ男は下心満載でネックレスを買ってくれたんだから、迷惑料としてもらったって別にいいじゃん?とドライな考え方をするアムと、知らない人に高価な(?)プレゼントをいただくいわれはないと潔癖な考え方をするセラと、ここはそれぞれの違いがくっきり。世渡り上手と世間知らずの差が出たな。
セラはネックレスを持って、男の乗った車が走り去った方向へ駆けていく。やっと探しあてたセラが見たのは、男が工事現場で額に汗して働く姿。先程のおしゃれな男のイメージとはかけ離れている。
セラ「え?バイト?お金持ちじゃないの?なんか……イメージ違う……」
わざわざ男のバイトが終わるのを待って、ネックレスを返そうとするセラ。が、そこに探していたシェフードンが現れた!襲い掛かってくるシェフードンにひるまず、身構えるセラ。ところが男がいきなりセラの前に飛び出すと、シェフードンに思いっきり殴られて気絶。そしてセラと戦う間もなく、シェフードンはまた姿をくらませてしまった。
男が気がついたのは、公園のベンチの上。セラは、律儀に男が気がつくのを待っていた。わざわざ男とは別のベンチに座って、様子を見守っているセラの距離感が、おぼこくてたまらん。気がついた男に対して、セラは憎まれ口を叩く。
セラ「まったく……余計なことして。私、結構強いんだからね!」
男「そうなんだ……せっかくいいところを見せようと思ったのになぁ」
セラ「なんでそんなことする必要あるの?」
男「きみのことが気になるからかな?」
セラの座るベンチの方にやってきて、ぐぐっと男は距離を詰めてくる。セラはどぎまぎして、目を逸らす。
セラ「……な、何言ってんのよ、冗談やめてよ」
男「どうかな?」
男はセラから目をそらさない。見た目は軽そげなナンパ男、でも……さっきは身体を張ってかばってくれたし、陰では真面目に働いていた。……見かけよりはいい人なのかな?セラはちょっとだけ、はにかむように微笑む。
男「名前、教えてくれないかな?俺は……零」
セラ「……セラ」
あー……セラちゃん、これはオチた。バイトの身でありながら派手なスポーツカーに乗るなんて、そいつ怪しいよ、セラちゃんだめだよ……とテレビの前のお父さんお母さん達は、はらはらどきどきです。そして、それはジュウオウジャーの皆も同じ気持ちだったようで。
消えたシェフードンを散々探し回っても成果なし。ぐったりして真理夫さんのお家に帰ったジュウオウジャーのオトコ連中に、牛に扮した真理夫が牛乳を振る舞う。少し引きながらも、牛乳をありがたくいただいている時に、アムが帰ってきた。
タスク「セラと一緒じゃなかったのか?」
アム「あー……それが、途中で別れちゃって……ちょっと心配かも」
レオ「大丈夫だろ。子供じゃねえんだから」
アム「ナンパしてきた男の人を追っかけてったのに?」
オトコ連中は牛乳をぶーっ!あらお約束。
大和「何それ!?」
タスク「不用心すぎるだろ!」
一方、当のナンパ男、零は密かにクバルとコンタクトを取っていた。クバルはなかなかセラを仲間と決裂させられない零にやきもきする。
零「あせるなよ、男と女のゲームには繊細な駆け引きってやつがあるんだよ」
クバル「ふん、口の減らない下等生物ですね。やりかたは任せますが」
果たして、セラはその日はちゃんと真理夫の家に帰って来たものの、どこか上の空。零からもらったネックレスを見つめてはため息をつく。オトコ連中、心配。とっても心配。でも、どうしたもんかわからず、みんな陰からセラを遠巻きに見つめることしかできない。あうあう。
セラ「返しそびれちゃった……ちょっと出掛けてくる」
なんとセラは、零とデートの約束をしていたみたい。東京ドームシティで待ち合わせていたとおぼしき零に、セラはとびっきりの笑顔を向ける。か、かわええ……。が、そんなセラのうきうきデートを、こっそり見張るニンゲンふたりと、ジューマン3匹。
操「おとなだ……」
レオ「なんだ、あいつ?俺がデートに誘っても無視するくせに」
タスク「それはレオがいつでもだれでも見境がないからだろ?」
操「おとなだ……」
レオ「はあー?それの何が悪い?」
大和「えーっと、あの男がそうなの?」
アム「うん……悪い予感的中しちゃった」
操「おとなだ……」
もはや色恋沙汰では恒例となった操の落ち込み、自分にはちっともなびかなかったセラがあっさりオチたことに嫉妬メラメラのレオ、冷静につっこむタスク、落ち込む操、開き直るレオ、お父さん心配!的な大和、お母さんも心配!的なアム、落ち込む操。それぞれの目線に気がつくことなく、セラは無邪気にはしゃぐ。 うう、楽しそう、できればこのまま彼女の恋を見守ってやりたい(レオ除く)……でも、相手の男は明らかに遊び人ぽい……、うむむむ。
悩んだ末、男が席を外した隙に、タスク達はセラに声をかける。尾行されていたことに初めて気がついたセラは、ちょっとムカっときた。
レオ「お前なにホイホイナンパされてんだよ!」
操「やはり……お付き合いしてるのか?」
セラ「してないわよ!……まだ」
操・タスク・大和・レオ・アム「「「「「まだ!?」」」」」
こりゃあかん、デートして相手を見極めようって段階じゃない。セラちゃん、完全に恋に落ちちゃってるorz。アムとタスクは心配げに諭す。しかし、火に油を注いだだけだった。
アム「セラちゃん……あの人は、セラちゃんには合わないかもしれないよ?」
タスク「よく考えろ。相手は本気なのか?」
セラ「みんな、見た目で判断して……。零はああ見えて地道に働いてるし、優しい人なの!!」
レオ「お前浮かれてんじゃねえのか?」
セラ「うるさい!」
実力行使で連れ戻そうと近付いたレオに、セラちゃん思いっきり腹パン!思わずレオが腹を抱えてうずくまったところに、零が戻ってきた。レオ達を見て、お友達?と訊く零に、いいから行こうと足早にその場を立ち去るよう促すセラ。もう、皆大嫌い!
そしてふたりはそのまま海が見渡せるテラスに向かう。まあ、ロマンチック。セラの笑顔が弾ける。か、かわええ……。
セラ「私、海大好き!」
零「だと思った。俺たち、気が合いそうだな」
セラ「そう……かな?」
照れ隠しに、セラはネックレスを返そうとする。
セラ「私、こういうのもらったことないから」
零「これは、君のために買ったんだ」
零はセラの後ろにたつと、彼女の身につけていたネックレスをそっと外して、プレゼントしたネックレスを着けた。零の手がセラのうなじに触れ、吐息が耳にかかる。きゃー!きゃー!きゃー!セラは思わず零から小走りで離れると、振り向いた。
セラ「ありがとう!」
何の疑いもない、輝くような笑顔。純粋すぎる……零の胸に軽く痛みが走った。その痛みをごまかすかのように、零はセラに迫る。
零「セラ……好きだ」
セラ「……う、海が?」
零「ごまかすなよ。俺と付き合ってくれ」
面映ゆさのあまり目をそらそうとするセラの肩をつかむと、零はセラを強引に振り向かせた。あわわわわ、セラ……どうなっちゃうの?
一方、セラを怒らせてしまったジュウオウジャー組は、皆、難しい顔で反省会。どうしたもんか……、このままセラの恋をあたたかく見守るべきか、否か?
タスク「アム、あの男は本気だと思うか?」
アム「うーん、第一印象はあんまり良くないんだけど……」
タスク、それ娘を心配するお父ちゃんの発言orz。
が、反省会を邪魔するかのごとく、シェフードンが現れた。
操「正直セラがどうなってるか、めっっっっちゃくちゃ気になるが」
タスク「ああ、まずはデスガリアンを倒そう!」
シェフードンの出現を、セラの尾ビレも感知した。甘い甘いムードのなか、セラの尾ビレがいきなり立って、ビクッとなる。セラは我に返った。
セラ「私……行かなきゃ」
零「え?さっきは友達よりも俺を選んでくれたじゃないか」
セラ「それは……ごめんなさい!」
零「どうして……」
セラ「気持ちは嬉しいけれど……私、みんなを放っておけない」
セラはネックレスを外すと、改めて零に返した。私には恋に溺れる前に、やらなきゃいけないことがある!
零「純粋すぎるんだよ……」
返されたネックレスを悲痛な面持ちで眺めると、零はいきなりそれを海に放り投げた。
セラ「なにするのよ!」
零「……たく、お前の気を引けないのなら、ただのゴミだ。茶番はここまで。あの白い方と違って、ちょろいと思ってたんだけどな……俺の本職は結婚詐欺師。女をだますのが仕事なんだよ」
零の口調は豹変。簡単に騙されたセラを嘲笑うかのように、零は自分の正体を明かす。
もう二度と彼女が自分みたいな男に騙されないよう、できるだけはっきり、ショッキングに。
セラ「どうしてそんなことを」
セラは、まだ零の言うことを信じることができない。
零「お前を仲間から引き離せって化物に命令されたわけ。まあ、そっちは上手く行ったけどな」
セラ「何それ……今までのこと全部嘘だったの?」
零「ああ、全部嘘だ」
セラは思わず手を上げた。零は目を瞑って、彼女の平手が自分の頬をはたくのを待つ。彼女には、せめてそれくらいのことをする権利はある。が、いつまでたっても衝撃は来ない。
零が目を開けると、セラは手を上げたまま、ぽろぽろと涙をこぼしていた。
セラはそのまま、零の前から走り去った。
シェフードンと戦う仲間達のもとへ、セラは戻る。操は男とセラがどこまでススんだのか、聞きたくて我慢できない。
操「あの男とはどうなったんだ?」
セラ「フってきた!忘れたいから、もう触れないで」
……なんて言えばいいのやら。空気が一瞬固まる。そしてセラはおずおずと付け足した。
セラ「あと……ごめん……」
アム「……いいよ」
セラの泣きそうな顔を見れば、あの男とどんなことがあったのか、大体想像がつく。何も言わなくていいよ、おかえりなさい。アムはセラの傍に寄ると、優しく彼女の手を握った。
セラは変身すると、悔しさと切なさを全てシェフードンへぶつける。
セラ「思いっきりやけ食いしたい気分なのに、何がスーパーカロリーよ!!この女の敵!」
シェフードン「百貫デブになってしまえー!」
シェフードンも負けじと巨大カロリー寿司をセラへぶつけようとする。セラの美しいスタイルの危機!そこにまたもや水も滴る零が登場!セラをかばうと寿司を食って百貫デブに!
セラ「零!あなたいったい……!」
ネタの割れた結婚詐欺師が、なんで今更セラをかばうのか?むっくむくに太った零の手には、海に投げ捨てたはずのネックレスが握られていた。わざわざ、これを拾うために海に飛び込んだのか。
零「今頃になって、お前のこと、可愛く思えてきたんだ……」
セラ「はあ?……うそつき」
零をうそつきと罵るセラの口調に、彼女らしい棘はない。騙されたはずなのに、またなにか企んでいるかもしれないのに、ずぶ濡れでむくむくの姿のまま気障な台詞を吐く零に、思わず笑みこぼれてしまう。零は照れくさそうにネックレスを差し出した。
零「やっぱりこれ……もらっておいてくれないか?」
セラ「……うん」
セラは零の手から、改めてネックレスを受けとった。
が、すぐさま零はシェフードンにぶっ飛ばされて、空の彼方へ。綺羅星のごとく現れてセラを恋の罠に落とした男は、流星のようにセラの目の前から去っていった。
クバル「一時の感情で、私に逆らうとは……。何故、自分が詐欺師だとバラす必要があるのです?」
零「この星のニンゲンが考えることは、お前にはわからないさ」
クバル「ふん……あなたは用済みです」
セラたちの戦いを遠くから眺めていた零のもとに、クバルが現れた。
確かに零は、クバルの命令どおり、ジュウオウジャーの鮫オンナを翻弄し、仲間と仲違いさせた。しかし、何故にネタばらしをしてしまったのか?クバルには、零の心の機微が理解できない。そして、きっと零自身にも、わからない。結婚詐欺師が、ターゲットの純粋さにほだされた。間抜けにも程がある。でも、彼女が仲間のもとに帰れたのなら、それでいい。最後に笑ってくれたのなら、それでいい。
零は満足げに微笑みながら、静かにクバルに消されていった。
戦い済んで日が暮れて、セラはケーキを1ホール抱え込んで、もっくもくと頬張る。いつもなら、ちゃっかり横からお相伴にあずかるだろうアムも、今日はにこにこ笑いながら見守っている。美味しそうなフルーツがたっぷり乗った生クリームのケーキは、アムのセレクトなのかな?
対して、ジュウオウジャーのオトコどもは、そんなセラを遠巻きにしてびくびくと。
操「なにがどうなったのか、詳細が気になるぞ」
レオ「やめとけ!下手につっこむと命はねえぞ」
大声が持ち味のレオが、珍しくヒソヒソ声で操に忠告。が、耳のいいセラが聞き逃すはずはない。
セラ「……きこえてるわよ?」
セラの全身から黒いオーラがもくもくと立ち上る。ひ、ひいっ……!あまりの恐ろしさに腰を抜かしたオトコどもは、早々に退散。これだから、男子って嫌!セラはひとつため息をつくと、またケーキをむしゃむしゃ食べ始めた。
セラ「どっかで……またオンナノコだましてんのかな?」
セラの胸には、零からもらったネックレスが光っていた。
『バングレイの右手』から生まれた、ニセモノの結婚詐欺師が、恋をまだ知らない無垢な少女セラに接することで、本当の恋を知る、という物語がなんともいえずロマンチック。
しかも、ニセモノは本当の恋を胸に秘めながら、ニセモノととして消され、肝心のセラはその事実をしらないまま、いまだに彼のことを憎からず思い続けるというラスト。シェフードンの作戦の見た目の滑稽さと、ジュウオウジャー男子チームの役立たずなおろおろっぷりを背景に挟むことで、コメディらしく明るくまとめ上げましたが、これはなかなか上質なラブストーリーだったんじゃないかと。
特に最後の零とセラのやりとりが、お互いに好きとはひとこともいっていないのに、ちゃんときゅんきゅんした気落ちが伝わってきて、うむむやるな……!と唸らされました。また、ジュウオウシャークが、表情がみえないのに全身ではにかんでる雰囲気を出していて、うまいんだな、これが。
そして、スタッフ渾身の力をこめて撮りあげたであろうセラちゃんの表情が、全編にわたって愛しくって切なくって……もうね!セラちゃん、愛されてんな〜。
あと、ストーリー面でちょっと面白いなと思ったのは、タスク達は皆、相手の男の胡散臭さを感じ取って、セラの交際に反対してる。つまり種族の違いを理由に、交際に反対しているメンバーが誰ひとりとしていないのです。
もし、このまま交際が本当に進んでしまえば、他ならぬセラ自身がその問題にぶち当たったかもしれませんが、すくなくともこの時点では、誰も問題にしていない。それだけ、タスク達が自分たちで思っているより、ニンゲン世界に深く馴染んでいることを端的に示したエピソードだった、といえるかもしれません。
さて、次回はレオと少年の物語。その裏表のない性格故に、ニンゲンとの忌憚のない交流エピソードが多かったレオが、どうニンゲンの少年と仲良くなるのか、とても楽しみです。