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Channel: 出の目鱈の目魚の目は痛い
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THE NEXT GENERATION パトレイバー 第7章

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「THE NEXT GENERATION パトレイバー 第7章」2014年 日本
監督・脚本/押井守

というわけで、シリーズ最終章。今回はエピソード12「大いなる遺産」単独上映。なので、上映時間も45分と短く。すみません。今回はネタバレ全開です。
始めにシリーズ総集編映像が5分ほど流れます。派手なシーンばかりを集めて怒涛のごとく。
おお!この総集編だけみるとすっごく派手な映画シリーズにみえるよ!超弩級ロボットアクション映画にみえるよ!編集ひとつで印象操作出来るよね、こわいわー。

そして本編。シリーズ最終話…かと思いきや、どっこい2015年5月1日公開予定の長編映画「パトレイバー首都決戦」の序章的な位置づけでした。
しょっぱなから不穏な仕掛けがなされています。通常、最近の松竹映画のロゴタイトルは、黒いバックにブルーの富士山のデザイン画にローマ字での「SHOCHIKU」ですが、今回はなんと過去の青空バックのリアル絵画富士山にどどんと「松竹映画」のロゴタイトルを引っ張り出してきました。おおお?!
しかも画角もシネスコサイズに!え?いまどきシネスコ?エピソード11までは16:9でした。
そう、このエピソードは1993年に公開されたアニメ長編映画「PATLABOR 2 the movie」の続きでもあるのです。過去の人物がむくむくと起き上がり始めます。
東京を戦争状態におとそうと画策し、現在服役中の元自衛隊・柘植行人。彼はレイバーの軍事的価値にいち早く注目し、特車2課の設立の際にアドバイザー的役割を果たした人物でもあった。
そして、警察を辞めて、警備会社を立ち上げるもうまくいかず、失踪したはずの特車2課 先代第2小隊隊長・後藤喜一。
現在は、国連活動を中東某国でしている元第1小隊 隊長・南雲しのぶ。

PATLABOR 2のあらすじとその後をちょっと書いておきます。
PKO部隊として海外派遣され、現地のゲリラ部隊に襲われても交戦許可が降りなかったが為に、部隊全滅の経験をした柘植。
彼は他国の戦争と無関係を装いながら、他国の戦争で潤っている日本の現状を憂い、まやかしの平和を貪る東京を戦争状態に陥れる。しかし、日本の融通の効かない縦割り行政の中、警察上層部と自衛隊上層部は対立。それぞれが牽制のために権限を発動させた挙句、事態は悪化。
責任者が次々と辞任するなか、警備部緊急会議の場では、元々柘植と男女の関係にあったこともある南雲しのぶに、非難の矛先が集中する。
この有事に身柄を拘束されそうになる南雲。
共に会議に呼ばれていた後藤は、責任をなすりつけ合うだけの上層部に愛想をつかし、南雲と共に会議を脱出。第2小隊のメンバーと独自行動を開始。南雲と共に首謀者の柘植を逮捕することに成功する。
しかし、単独行動の責を問われて、後藤、南雲は辞職。第2小隊はメンバー総入れ替え。警察上層部も一新することになった。

さて、エピソード12。
現警視総監が体調不良のために辞任することになり、次の総監候補に警備部 部長の海藤の名が挙がる。しかし、その為に「過去の清算」をほのめかされる。つまり、ほとんど機能していないのに、なぜかずっと存続していた警備部のお荷物、特車2課の解体。
その噂を聞きつけた隊長・後藤田は解体を阻止すべく情報を探りはじめる。キーになるのは先代・後藤が残した「遺産」の噂。このおかげで、特車2課は今まで解体されずに済んで来た。「遺産」とは何か?特車2課内で当時を知る唯一の男、シバシゲオに訊いてみるも、歯切れが悪い。「アンタには守るべきものってのがあるかい?」と逆に訊かれる。後藤田に答えることは出来ない。
さらに、突然先代後藤から携帯電話が送られてくる。メモリには「goto」の電話番号のみ。
後藤田は遺産に関係すると言われている、服役中の柘植に面会しにいく。後藤田は彼にも、守りたいものはなにかと問われる。
そして後藤からの電話が鳴る。後藤田は何を後藤から言われたのか?
東京上空を飛ぶ軍用ヘリ。東京を再び不穏な影が覆い始める…。
「嵐が…来る…」

さて、今までのゆるい雰囲気とは一線を画し、後藤田の周りはキナ臭いムードにつつまれます。一方、特車2課の連中は相変わらずゆるいムード。その対比が、これから起きる嵐の予感を煽ります。
ただ、このエピソードはあくまでも予兆。いろいろこれからのことを匂わせるだけで、何も答えを出していない。ちょっとそこがモヤモヤするので、パンフにあった押井守のインタビューから一部抜粋しておきます。
「結局、自分達の正義は自分達で考えるしかない、じゃあ、自分たちが守るべきものって何なんだろう?特車2課という集団自体が滅びようとしているのなら、自分達の存在をかけて何を守るのか?
(中略)安寧な生活。それは、一市民ならばそれでいいのかもしれないけれど、彼等は警察官ですから。仮にも彼等は一応は警察官なわけだから、安寧な特車2課のマンネリな日常生活が果たして守るに値するものなのか?そこで先代達は何を考えたんだろう…これがこの作品でやりたかったメインテーマです。今は能天気にやってる若者たちも、いずれはそのことを問われるようになり、本格的に絡んでくるのが今度の長編劇場版ということになります。
そういうわけで、"遺産"の正体も、彼等に問われていることの結論も一切描かれていない、長編劇場版のプロローグという側面の強いお話になりました。」
だそうです。
そして5月長編の予告編。
おおお!本格的にイングラム始動。再び東京は戦争状態に入るのか?橋から落ちるイングラムの画にトリハダたちました!ひゃあー!
予告を見る限り、見せ場を充分作ってあり、エンターテイメント要素の高い出来になってる…とは思う。ただ、この押井守という監督は思考の迷路にはまるあまり、観客を置いてけぼりにする一面もあって、PATLABOR 2にはその傾向がちょっとありました。
そして、このエピソード12も、観客がPATLABOR 2をみていることを前提にしている節があります。
22年前の映画よ?当時象徴的に使われた鳥の画像やBGMをインサートしてくれたおかげで、かろうじて思い出したけど、思い出すのに必死になって、目の前のセリフを追うことを一瞬忘れちゃったじゃないorz。一応内容説明はしてるけど、あくまでも事件後の部外者目線の語る事件のあらましなので、余りにも言葉足らずだし。
エンターテイメントと思考のバランスがうまくとれると、とてつもなく面白い作品が出来るのですが。さてさて、どうなるか?

というわけで5月公開の長編映画を見る方は、「PATLABOR 2 the movie」→第1章エピソード0(先代達のその後が語られてる)→エピソード1(現在の特車2課の立ち位置)→第2章エピソード2(エピソード12で描かれる特車2課の日常風景が、リンクしています)→第7章エピソード12の流れで見てから、映画館になだれ込むのがよろしいかと。
さあ、あと3ヶ月強あるので、レンタル屋へ走ってみましょう。

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あ、今回も辻本監督のワンコ、むーちゃんは元気でした。千葉繁と戯れる姿がとってもキュート。

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