イゴール「この感触は?何故だ?私をアデル様から引き離す事ができた、このビンタは一体?」
御成「言わば、愛ですな」
アカリ「ちょっと、やめてよ」
DEMIAに呑み込まれたイゴールの自我を取り戻したのは、なんとアカリの連発ビンタ!しかし、後ろから眼魔に斬られそうになったアカリのことをかばおうと、イゴールの身体が反射的に動いてしまった。
イゴール「愛……なんと不条理な」
アカリの代わりに斬られたイゴールの眼魂が砕けた。
が、今頃ランニングシャツ着た生身の肉体に戻ってると思うので、あまり問題はないであろう仮面ライダーゴースト第48話感想。
あ、うーん、真面目に考えると、イゴールにとってのアカリのビンタは、最も強烈な屈辱という感情を思い出させるものであって、愛ではなかったような……。
まあなんにせよ、強い感情を呼び水にして、自我を取り戻させてくれたことには変わりないということで。イゴールはアカリちゃんに感謝ですな。御成は、あまり純情男子を勘違いさせるようなことをウカツに言わないように。
49話放映前に感想あげようと思ったのに、まさかの寝落ちorz。というわけで、まだ49話みてません。最終話1話前でアデル退場。ゴーストらしい話の決着がつきました。
感想というよりは、それぞれの人物の気持ちをトレースしていく形で。アドニス達が元いた世界が、どうみても弥生~飛鳥時代くらいにしか見えないとか、アラン様150年位生きてるとかいってたけど、実際は1500歳くらいじゃないのとか、そんなツッコミどころはとりあえずカット。
*アデルとアラン
兄・アデルを屠るために、ひとり眼魔世界に飛び込んで、祈りの間へ向かったアラン。そこで目にしたのは変わり果てた姉・アリアの姿だった。彼女は跪いた状態のまま虚ろな目をして動かない。
アラン「姉上に何をした?」
アデル「私とひとつになったのだ」
冷たく答えるアデルに向かって、アランは叫ぶ。
アラン「父上だけじゃなくタケルの父親、そして今度は姉上まで!私はタケルに教わった。人の心が、思いが繋がる事を。だが、兄上は全てを断ち切っている!」
アデル「愚かな。思いが繋がるなど幻想だ」
アデルはまったく聞く耳をもたない。アデルは自分と違う人間とわかり合おうとすることを放棄し、全てを呑み込んで自分と同化させ、自分の思い通りに動く世界をつくろうとしている。確かにそれは『争いのない』理想の世界かもしれない。しかし、その世界の空虚さにアデルはなぜ気づかないのか?
アラン「父上が言っていた……『理想に心を殺されるな』と。あなたの心は既に死んでいる!」
アデル「父上は、理想を捨てた負け犬だ」
アデルは、『争いのない世界』という見果てぬ理想を追い求めて、眼魔世界を創生した父ですらも見下した。
アラン「こんな思いはもう沢山だ。あなたは私が止める!」
アランはネクロムに変身するとアデルに襲いかかった。しかし、ガンマイザーと一体化したアデルとの実力差はいかんともしがたい。アデルはせせら笑う。
アデル「それで私を倒せると思っているのか?」
アラン「この命を捨ててでも倒す!私がやらねば、兄上のことを思ってタケルが苦しむ!」
アデル「私の事を思ってだと?ふざけるな!」
アデルの背にしがみつくと、アランの全身が発光し始めた。
アデル「ふん、自爆とは下らん」
アラン「一人では逝かせません!」
今のアデルならアランを振り切ることも出来たはずなのに、アデルは抱きすくめられたまま動かない。もしかして兄弟一緒に死ぬなら、それもいい……と心の中では思ったのかもしれない。しかし、アランは変身を解除すると、そのままアランの足元に崩れ折れ、泣きじゃくる。
アラン「私には……できない!」
アデル「愚か者め!」
アデルは失望とともに、アランの身体を蹴り飛ばした。
が、あとから追いついてきたタケルが猛然とアデルに斬りかかる。怒りで我を忘れたタケルの猛攻にアデルは追い詰められていく。それを目にしたアランは思わず叫んだ。
アラン「やめてくれ!……私の心は、兄上を助けたいと叫んでいる!」
家族をことごとく裏切り、恩人でもあるタケルの父を殺し、全ての人間の意思を奪って世界を征服しようとしているアデル。アランのやるべきことはわかっている。ここでアデルを止めなければいけない。殺さなくてはいけない。それでも、アデルをその手にかけようとすると、心が悲鳴をあげる。理屈ではない、なにかがアランの心を引き裂く。アランにアデルを殺すことはできない。
*深海マコト
マコト「これで……いいんだ……これで……カノン……ごめんな」
油断したタケルをかばって、思わず生身のままアデルの剣の前に飛び出したマコト。彼の身体は斬られた。息の絶える直前、もうひとりのマコトが姿を現す。
マコト「お前が俺になれ。カノンやタケルたちを頼む」
斬られたのは本物のマコト。でも、偽者がどうとか、どちらが本物とか、もうそんなことはどうでもいい。
さっき眼魔世界に入っての戦いで、偽者マコトは本心からカノンをかばい、眼魔達と戦っていた。だから、本物マコトも一緒に力を合わせて戦った。この場で大切なのは、どちらが本物か決するということではなく、いかにカノンやタケルを守れるかということ。
自分が力尽きても、自分と同じ心を持つ偽者が、意思を継いでくれるならかまわない。本物のマコトは偽マコトに自分の全てを託して、力尽きようとする。しかし、偽マコトはそれを拒否した。
偽マコト「俺はお前だ。お前が俺の思いを繋げ。……アリア様を頼む」
マコトの本心がちらりとのぞいた。ああ、やっぱりアリア様がマコト兄ちゃんの女神さまだったのね。この本音をぽろりと漏らした偽マコトは、本物マコトよりちょっとだけ正直。偽マコトは本物マコトに近づくと、光の粒になって吸収されていった。
偽マコト「これが……俺の生き様だ」
マコトの身体は修復され、元に戻った。散々マコトの存在を脅かし続けた偽のマコト。しかし、マコトの心を知り、現実の仲間との交流を経て、完全にシンクロすることで、彼はマコト本物のマコトのために自分の存在を消すことを選んだ。偽マコトの心は、本物のマコトの心の鏡。本物のマコトが、もう少し利己的な男だったら、偽マコトは本物が逝くのを見届けてから、そのままこの世に残ることを選んだだろうに。
マコトの自分の命を手放した心根の有り様が、最後に自分の命を救うことになった。禅問答のような教に満ちたエピソードでした。
*天空寺タケル
アデルを討とうとするアランを追って、眼魔世界に飛び込んだタケル、アカリ、御成、カノン、マコト。
行く手を阻むイゴール軍団を蹴散らして追いついたタケルが目にしたのは、アデルを道連れにしそこね、ぼろぼろになって倒れているアラン、そして、アランに光の糸を伸ばして意思を奪おうとするアデルの姿だった。
タケルの中で何かがぶちんと弾けた。タケルはムゲン魂で変身すると、光の筋をぶった切って、叫び声をあげながらアデルに斬りかかる。
タケル「よくもアランを!よくも父さんを!お前だけは許さない!」
しかし、アランの悲鳴にも近い叫びを聞いて、タケルは我に返った。アデルのことは許せない。しかし、ここでアデルを殺すことが、タケルの本当の望みなのか?そうすればこの怒りは昇華できるのか?
彼岸の父、龍は本当にそれで喜んでくれるのか?
タケルは剣を下げると、変身を解除。敵意がないことをアデルに示した。
アデル「どう言うつもりだ?」
タケル「やっと分かった……俺は、アランとアデルの心を繋ぎたい。家族の思いを繋げたい」
タケルはアランの方へ振り向くと、自分の想いをしっかりアランに告げた。
アラン「タケル……すまない」
タケルの言葉をきいたアランはちいさくつぶやいた。タケルの父親との繋がりを断ち切ったアデル。それなのにタケルは、アデルとアランを繋ごうとしてくれている。アランの心はタケルに対する申し訳無さで潰れそう。それでも今のアランはタケルの気持ちにすがることしかできない。
一方のアデルは激昂。どれだけこの男は私を馬鹿にすれば気が済むのか!?不用意に隙を作ったタケルの背中に向かって、アデルは剣を振り上げた。
アデル「ふざけるな!」
が、マコトが斬りかかったアデルとタケルの間に割って入って斬られた。
一斉にタケルの懐の英雄眼魂たちがアデルに向かって飛びかかり、タケルのもとからアデルを引き剥がして戦う。
『我らはタケルとともに進む』
その約束を違えず、英雄達はタケルの心が欲するところに従うべく、足止めをかって出た。
タケルはマコトの無事を確認すると、英雄ゴースト達とアデルの戦うところへ。英雄達とガンマイザーが死闘を繰り広げるなか、タケルはひとり、変身しないままアデルのもとへ歩みよっていく。
タケル「アデル、本当は分かっているんだろ?アリアさんと、アランの思いが」
アデル「黙れ!」
タケル「分からないって言うなら、絶対にお前に分からせてやる」
タケルはアデルの身体を抱きしめた。
アデルの中に、父、眼魔世界を建国したアドニスの想いが伝わってくる。この世界のどこか、忘れ去られたような文明の集落で、熱心に村人達に理想を説いてまわるアドニス。その姿を頼もしく見つめる妻とこどもたち。
アドニス『皆で力を合わせ、ここに争いのない平和な世界を創る』
アデルの心は激しく動揺。アデルとつながっていたDEMIAの光の糸が徐々に途切れていく。が、アデルの心は自身の母を亡くしたときの記憶を思い出して抵抗する。母を失った父は、子供達に背を向け、自身の理想を実現することだけに没頭するようになった。あの時から、父の中でアデルはどうでもいい存在になった。父は死者に執着し、生きている人間に目を向けなくなった。
アデル「私は父と母を同時に失った。所詮、家族などそんなものだ」
タケル「そんな事はない!子供を思わない親なんていない」
タケルはアドニスの想いを伝え続ける。
アドニス「妻と息子、そして多くの同胞を失いました。私は、理想の世界を創ります。人が死なない世界を」
イーディス「本気のようですね」
アドニス「残された子どもたちの未来のために」
この言葉をきいたアデルは愕然とする。父は死者の虜になって、自分のことを顧みなくなったのではなかったのか?
アデル「子どもたちの未来?」
タケル「お父さんが眼魔の世界を創ったのは、みんなのためだったんだ。俺の父さんと同じだ」
アデル「同じではない。父上の思いを、必死で実現させようとした私を裏切った!」
母が死んでから理想の世界実現に没頭する父に、振り向いてもらいたかった、認めてもらいたかったアデル。だから、父の理想である『誰も死なない世界』を維持するため、彼は人間世界の生命エネルギーを得ようと人間世界への侵攻を目論んだ。しかし、父はそれを喜ぶどころか、アデルに対してますます冷たい態度をとるだけだった。
が、DEMIAの糸が切れて正気をとりもどしたアリアがアデルのもとに駆けつけた。
アリア「いいえ、それは違います」
アリアもタケルを介して、アデルへの侵入を試みる。彼女がアデルにみせたのは、父が最後に託した言葉の記憶だった。
アドニス『アデルは、私の思い描いた理想を実現しようとしているだけ。純粋なのだ……。だからアリア、アランとアデルをよろしく頼んだぞ』
アドニスは暴走するアデルの心の内をわかったうえで、ただひたすらに行く末を心配していた。
アデル「私は愛されていた。父上は、私や家族のために……」
アリア「そうです、アデル」
タケル「本当は、アデルもお父さんに守ってほしかったんだね。でも、自分は捨てられたと思っていた……だからあの時、俺を守ろうとした父さんを……本当は違っていたのに。悲しいね」
タケルの身体が蒼く光る。父に愛されてないと思い込んだアデルのやつあたりもあって、龍は殺された。よく考えればひどい話。うずくまるアデルにアリアとアランが寄り添う。そしてタケルも。やってしまったことを悔いるアデルに、アリアとアランは、もう一度やり直そうと言葉をかける。
アデル「ふたりとも今までの事を許してくれるのか?」
アリア「許すも何もないわ」
アラン「兄上、私達は家族じゃないか」
アデル「……本当に……すまなかった」
しかし、タケルだけは黙り込む。アデルとアラン、アリア、一度はばらばらになってしまった兄弟の心が再び繋がった。それがタケルの望みだったはず。アランとアリアの気持ちを考えるとそれは嬉しいこと。しかし、アリアたちのようにアデルを許せるのか、と問われると、タケルの気持ちは沈む。
アリアたちと眼魔世界を立て直そうと決意したアデルは、自分の身体からガンマイザーを切り離す。しかし、全ては遅かった。人の心に興味を持ったガンマイザーは、アデルの心から嫉妬、猜疑心、征服欲、自尊心を学び、その自我はとてつもなくふくれあがっていた。
ガンマイザー「この時を待っていた。ようやく人に取って代わり、独立した存在となる。我らが揺るぎなき意志となる」
15枚のガンマイザーのパネルがアデルに襲いかかると、彼の身体をすっぽりと包み込んだ。
アラン「兄上!」
アデル「取り込まれる……私ごと倒せ!」
タケル「駄目だ!」
アデル「他に方法はない……私を解放してくれ!頼む!」
アデルの身体は完全にガンマイザーに取り込まれた。ガンマイザーは満足そうに言った。
ガンマイザー「グレートアイと繋がっている人間。力の根源は、すでに我らの一部」
ガンマイザーは、いままでのアデルのように人間世界を破壊し、すべてをとりこもうとするだろう。グレートアイと本格的につながってしまえば、止める手立てはないかもしれない。自分が自分でなくなったアデルは、その手で再び人間に仇をなす。きっとアリアやアランにも。それだけはアデルにさせてはいけない。タケルは気持ちを固めると、ムゲン魂を取り出した。
タケル「アデル、お前を救う」
意思を完全にガンマイザーに奪われたアデルと戦いながら、タケルは本音を吐露する。
タケル「アデル、お前のやったことは許せない。でも、お前の今の思いは、アランやアリアさんが受け継いでくれる!だから、俺がお前の悲しみを断ち切る!」
やはりタケルは、アデルの罪を許すことができなかった。それでもアデル自身を憎む気持ちにはなれない。ただただ悲しいだけ。だからこれ以上アデルが罪を犯してしまう前に、アデルの心を解放する。もう、斃すしか手段が残されていないというのは、とても悲しいことだけれど。
タケルの剣がアデルの身体を斬った。アデルの実体は爆発し、あとには幽体だけが残った。が、その幽体も端から解けるように消えていく。
アデル「天空寺タケル……ありがとう」
自分を解放してくれたタケルにアデルは礼を述べる。そして、最後まで自分に寄り添ってくれた弟に兄らしい言葉を、姉には心からの感謝をのべた。
アデル「アラン、いつか新しい家族を作れ。お前は間違えるなよ。姉上……今までありがとう」
弟は力強くうなずき、姉は優しく微笑む。ふたりの愛を実感したアデルは、笑顔で消えていった。
アラン「タケル……ありがとう。最後に兄上と繋がれた」
アリア「あなたのおかげで、アデルは救われました」
そして世界も、アデルとともにガンマイザーを斬ったことで救われた……かにみえた。
が、偽マコトが遺したディープスペクター眼魂に入っていたガンマイザーの一部のシステムから、またもやガンマイザー復活。強固な意思を持ったガンマイザーはグレートアイすらも取り込もうとする。グレートアイへ繋がる空間に猛烈な力で磔にされたフレイヤが、ガンマイザーの発する光の中に溶けて、新たな形に変化した。
世界はどうなるのか?タケルは生き返ることができるのか?
いよいよ次回で本編最終回、さ~遅くなちゃったけど、今から見ます!